思索紀行を読んで

立花隆 思索紀行を読んで


タイから帰国後、いつものようにRSSで情報収集していたら、id:Chikirinさんの日記が目に入った。
イースター島に行った時の様子が記されていて、下の方に今回の本が偶然紹介されていた。
帰国後何か旅行記を読みたくなっていたので、好奇心にかられて早速購入。

2日かけてざっと目を通したが、筆者の旅を追体験する毎に、無知の知を思い知らされる。
自分もタイ旅行でいくつものカルチャーショックを体験し、タイ旅行以前と以後では随分価値観が変わっている(と本人は思っている)ので、
すっと入る部分もあったが、なかなか同調する部分はなかった。
それは筆者が何度も主張している通り、やはり本を読むだけではダメで、実際に現場に行かないとわからないという事なのだろうと思う。


以下本文から引用。
・ひとつの文化体系を本を読む事だけで勉強しようとしても基本的には無理。
ある文化体系を理解しようと思ったら、そこに飛び込んでその中に身を置いてしまうしかない。
自分の全存在をその中においた時に、始めて見えてくるものがある。
あるひとりの人が、ある具体的な人間存在として、あるときある場所で、ある具体的な世界を見ている。
そういう具体的な事実関係抜きの認識なんてない。


・you are what you eat. 汝は汝が食するところのものである
すべての人の現在は、結局、その人の過去の経験の集大成としてある。
日常性に支配された、パターン化された鼓動の繰り返しからは、新しいものは何も生まれてこない。
人間の脳は、知情意の全てが、ルーチン化されたものは一切意識の上にのぼらせないで処理できるようになっている。
そのようにして処理したものは、記憶もされない。
意識の上にのぼり記憶されるのは、ノヴェルティ(新奇さ)の要素があるものだけ。
旅は日常性からの脱却そのものだから、その過程で得られた全ての刺激がノヴェルティの要素を持ち、記憶されると同時に、その人の個性と知情意のシステムにユニークな刻印を刻んでいく。
旅で経験する全ての事がその人を変えていく。その人を作り直していく。旅の前と旅の後では、その人は同じ人ではあり得ない。


ここまで。



旅行前では何も感じなかったかも知れないが、今ならすんなりと頭に入ってくる。
と同時に、もっと旅をしなければとも思う。

これからさらに大量の本を読んでいく事になるだろうが、旅の経験値の高さにはかなわない気がしている。ドラクエで言ったら、本はスライム〜キングスライムくらいだけど、海外旅行はメタルキングくらいの差がある、しかも1日毎に。

もっと若い時に海外に出ていれば、とも思うが、まだ20代でもある、もっと世界を知りたいと思った。

この本は旅から帰ってくる度に読み返す事になりそうで、その度に価値が上がりそうな本だと感じた。